誘拐事件 「エビ」「お鍋」「炎」from.A→o
原文
http://ameblo.jp/amemoyos/entry-12025792863.html
テーマ
「エビ」「お鍋」「炎」
タイトル
誘拐事件
本文
私は暗闇の中で目を覚ます、どうやらやたらと早く目が冷めてしまったようだ、どうやら外はまだ夜らしい。
このまま二度寝しようとも思ったが、脳が少し覚醒しだしたらいつもと違う違和感を強烈に感じ始めていた。
いつもとは違う体の渇きに最初に気が付き、次に自分の体の自由が効かないことに気が付いた。
金縛りにでも現在進行形であっているのだろうか?いやどうやらそうではなさそうだ、バタバタと手足は動く、金縛りなら動かないだろう。
更に脳が覚醒し、私は何かに縛り付けられていると気が付いた。
どうゆうことだ?私は錯乱した、辛うじて動く手足を更にバタつかせる。
しかし体が進む気配は全くない、ただただ芋虫のように藻掻くだけだ。
私はどうなってしまっているのだろうか?一体ここはどこなのだろうか?ひたすら足掻いた後、私は冷静になって今置かれている状況を把握することに努めてみた。
問一
目を覚ます前、私は何をしていたのだろうか?
特に何も、今までと何も変わらない日常。
しいて言うならば少し遠い所まで、みんなと一緒にご飯を食べに行ったくらいだろうか?前日の記憶からではこの状況は殆ど読み解くことができないようだ。
…よし、次だ。
問二
今周りはどんな状況であるか?
先程から言っているが、真っ暗で視覚的観点からの情報は一切わからない。では、音はどうだろうか?些細ではあるが、ゴトゴトと何やら振動音が聞こえてくる。
私は何かによって運ばれているのではないだろうか?運ばれるなら何処に運ばれているのだろうか、心当りがない、最初の問の答えの通り、悪いことは何もしていないし、ましてや恨みなど買うようなことは一切ない。
自分の主観だから断言はできないが、私はただただ平凡な男だ…。
どうして私にこの様な不条理な状況に陥ってしまっているのか…甚だ疑問でならない。
さて、悲観にくれていても仕方がない…次に行こう。
問三
身体的変化はあるだろうか?
怪我などはして無いようだ、その証拠にどこも痛くはない。
それどころか、怪我しないようにすごく丁寧に縛られている感じもする。
ただ一つ重大な問題がある、それは、この場所はとても寒いのだ…。
生命の危機を感じるほどに…。
もし、これは妄想に近い考えだが、もし、私を捕まえて奴隷の様に働かせる事を目的とした誘拐ならば、この寒さは失敗ではないだろうか?この寒さで私が死んでしまったら、奴隷として商品の価値など皆無に等しくなってしまうからだ。
ならば、誘拐などの可能性は低くなるということだろう。
……いやまてよ?この世の中には死体を好んで食べる変態が居ると聞いたことがある。
もしそうだったら…ブルルッ…そんなことは考えないようにしよう…私の妄想癖には自分でもほとほと呆れてしまう。
なんとなく情報は集まった気がする、そうなれば総合的に考えてみようか。
まとめ
妄想ありきで考えると、私は拘束され、何処かへとかに運ばれている。
犯人側のミスで温度調節の設定を間違ってしまっており、私は今瀕死の状態になってしまっている。
…とのことではないのだろうか?拘束されているのは事実だし、この寒さの理由はミスであるとしか考えられない。
ただゴトゴトという音だけで運ばれているとは判断付かないが…この状況で誘拐ではない可能性は皆無だろう。
いや…しかし…寒い。ううむ…ダメだ、気を失ってしまう…。
このタイミングで意識を失うことは非常にまずい…が…嗚呼…もう駄目だ。
どんどん考えもボヤケていって、最終的に何も考えることができなくなってしまった。
―
…ハッどれくらい気を失っていたのだろうか?気を失う前とは打って変わって視界が明るい。
なるほど、先ほどの場所と違って天井がないからか。
しかし周りは壁に覆われている、私が閉じ込められているという事実は変わっていないようだ。
しかしあれは何だ黒い水?体が半分ほど黒い色の水に浸かっているのが見える。
それに私の仲間も周りにいる。
誘拐されたのは私だけじゃなかったのか…若干の安堵感がこみ上げたが、すぐにそれが間違いだったと気がついた。
動いていない、私の仲間はぴくりとも動いていない、拘束もされていないのにだ。
恐ろしくなって目を背けると、見たこともない新顔までそこにいることに気がついた。
無差別的に誘拐され………うわ!あっちに居るやつなんで既にバラバラに解体されているじゃないか!なんだここは!地獄のようだ!助けてくれ!!
待て…!…なんだアレは?炎?我々のいる地面の下から炎が噴いている!このままでは私は茹でダコになってしまう!…いやタコなんかじゃないんだから茹でダコにはならんだろうが…おおっと、自分に突っ込んでいる場合じゃない、逃げないと!早く!…早く体を動かすんだ!ああもう見てらんない!!
…はて?何かがおかしい、どうして私は自分の姿を見ているのだろうか?
…ああそうか私は既に死んでいるのか…
―
今日は私の誕生日だ。家では妻が私のエビ鍋を作って待っていてくれる。
さあ、早く帰ろう楽しみだ。